全国の吹奏楽部員を応援するこのブログ「吹ブロ!」を書いている、夢緒と申します。
少しでも多くの方に、吹奏楽を知って欲しい
すでに継続中の方には、より楽しく吹奏楽を続けてもらいたい
という思いで、このブログを書いています。
「高校まで続けてきた吹奏楽、大学でもやりたい!」そんなあなたに、ぜひ知って欲しい。大学の吹奏楽部の実態とは?
練習終わったけど、先輩たち、帰らないの…?→実は数多くのミーティングをやっていた!
大学受験を終え、いよいよ待ちに待った大学生活。
自分が興味のある分野をとことん深く学ぶことができる環境や、広くて大きな教室で受ける授業。
そんな大学生活を想像して、ワクワクしますよね。
筆者は大学入学前までの学校生活で、すでに吹奏楽のとりこになっていたので、大学でも絶対に吹奏楽を続けるぞ!ということで、入学してすぐに大学の吹奏楽団の門を叩きました。
そして、晴れて入団したものの…
楽器の練習後、毎回、先輩たちが練習室に残ってミーティングばかりしていることに、筆者は気づきます。
そんな先輩達の動きを観察していると、大学の吹奏楽部(吹奏楽団)は、高校までとは大きく異なるものだということが次第に分かってきたのです…。
筆者は大学に入るまで、そんな実情は一切知らなかったので、入部してみて本当に驚きました。
この記事では、大学4年間吹奏楽団に所属した筆者が、大学吹奏楽部の特徴について解説します。
もちろん、大学ごとで多少の違いはあると思いますので、この記事の内容が大学吹奏楽部のすべてではありません。
ですが、自分自身の経験をブログでまとめて公開することで、これから大学で吹奏楽を続けようと(始めようと)している方に、大学の吹奏楽部はこんな感じなんだ!とイメージしていただくための手助けになればと思っています。
楽器の練習だけじゃない!部の運営・演奏会運営もみんなの仕事!
部の運営をするために、各種ミーティングが必須
大学の吹奏楽部では、高校まで当たり前のようにいてくれた顧問の先生が不在となります。
多くの場合、高校までの吹奏楽部は「時間になったら音楽室へ行けば、練習ができる」という状態が約束されています。
ですが、大学では同じようにはいきません。
練習室を使いたい部活・サークルは大勢いるので、事前に予約をして、他の部とも交代で使わなければいけません。
また、定期演奏会などのイベントを行う場合には、まずは大学側へその旨届け出をし、希望の日時で取れるように予約するところから、準備が必要です。
吹奏楽部として活動するには、すべて部員で準備をしておく必要があるのです。
(筆者は大学1年の春にこのことに気づいてから、学校という環境と顧問の先生は、本っっ当に有り難い存在だったんだな…と、少しウルッときてしまうほど、しみじみ感じました(>_<))
大学では、部そのものの運営や音楽活動をしていくための決めごとについて一つ一つ、部のメンバーで会議を重ねて決定し、それに基づいて進めていきます。
会議(ミーティング)は大きく分けて3種類あり、全員が参加するのではなく、割り振られた係(役職)のメンバーのみで集まって行うことが多いです。
そして、このような会議をメインで担当する学年が決められており、その学年のメンバーが中心となって運営していくことが多いです。
(筆者の大学では、3年生がメインで担当する学年と決まっていました。)
3種類の会議とは、具体的には以下の通りです。
1年を通して、部として運営していくために必要な役割を、部員で分担して行う。
具体的には…大学側(学務課など)への各種届け出・やりとり、毎回の練習場所の確保、財務管理、他大学や連盟とのやりとり、合宿場所の手配など
演奏会当日がうまく運営できるよう、事前準備~当日までに必要なことを部員で分担して行う。
具体的には…タイムテーブルの作成、会場予約手配、打楽器を含む当日の楽器運搬の手配、チラシや招待状をの手配・SNSでの告知対応、当日お客様へ配布するパンフレット作成・手配など
各パートのパートリーダーが集まって、その日の練習内容について反省会をしながら、今後の練習内容や課題について話し合う。
具体的には…毎回の練習計画の立案、その日の反省、演奏会に向けた曲目の選曲、学外指導者の先生方への連絡や当日の対応など
それぞれの会議の内容について、次の章で詳しく解説していきますね。
各種ミーティングについて詳しく解説!
①部の運営に関する会議
部の運営をしていくために必要な、事務的な手続きや部員管理などを行うグループです。
以下の係(役職)を担うメンバーで集まり、事務連絡や今後の方針決めを行います。
<部の運営に関する会議で集まるメンバー>
・主幹…高校までで言うところの「部長(キャプテン)」にあたる。部員の統率をする。
・副主幹…次年度に主幹となる予定の部員(3年生が主幹、2年生が副主幹となる場合が多い)。
・内務…大学側とやりとりをして練習室の利用申請や鍵の管理、必要な各種書類提出等を行う。
・外務…学外での合宿や依頼演奏などを行う際の各種手続き・申請等の手続きをし、当日の責任者となる。
・財務…部の会計係。部費や合宿費等の管理をし、必要なときに各種支払いを行う。
・楽譜係(ライブラリアン)…多数ある楽譜の管理を行う。演奏する曲の楽譜がない場合は他大学から借りることも。
・連盟理事…その大学の吹奏楽部が「○○学生吹奏楽連盟」(例えば愛知県の大学の場合、「東海学生吹奏楽連盟」)と呼ばれる連盟に所属している場合、各大学から代表者1名が理事として連盟の会議に参加し、行事等の打ち合わせをする。
※これら以外にも大学により様々な役職・係がある場合があります。
定期的に上記メンバーでの会議を開催して、各自、担当していることが滞りなく進んでいるか確認をします。
また、予期せず発生した問題・トラブルにも対応する必要があり、急遽招集されることもあります。
(筆者が大学生の頃、突然連絡もなく練習に一切来なくなった部員の対応や、部室のカギの管理者がカギを紛失してしまった時の対応などで、緊急招集がありました。笑)
②定期演奏会などの主催イベントに関する会議
こちらは、①部の運営に関する会議とは違って、定期演奏会などの大きなイベントを行うために作られているグループです。
ですので、定期演奏会の半年前くらいから準備を始めるため、招集されます。
以下の係(役職)が集まって、演奏会までに必要な準備の打ち合わせをします。
・ステージマネージャー(ステマネ)…そのイベントにおける実行委員長のような存在。当日のタイムテーブルを作成・管理し、当日の責任者となる。会場となる音楽ホールのスタッフさんとの打ち合わせなども行う。
・庶務…演奏会当日に必要な備品の準備や部員・スタッフ向けの食事の手配などを行う。演奏会終了後の打ち上げの予約手配なども担当することがある。
・エキストラ係…演奏会で演奏する曲で、足りないパートがある場合は外部からエキストラさんを呼ぶことがあり、指揮者と相談をしながらその準備・手配をする。
・運搬係…演奏会当日に打楽器や大型楽器を運ぶため、梱包するための布などの用意をし、必要な大きさのトラックを手配する。
・発送係…演奏会の少し前に届くように、大学吹奏楽のOBや関係者へ演奏会の招待状を作成し、発送する。
・印刷係…当日お客さんへ配布するパンフレットや入場チケット等の作成・管理責任者。印刷会社さんと打ち合わせをしながら校正を行い、当日までに納品してもらう。
・情宣…演奏会を宣伝するためのチラシ作成の責任者。他大学の定期演奏会へそのチラシを持ち込み、パンフレットに挟み込んでもらうようお願いしたり、部員と協力してビラ配りをすることも。
※これら以外にも大学により様々な役職・係がある場合があります。
イベント当日に
「○○が無い!!」
「○○が足りない!!」
なんてことがないように、
こんな細かいことまでみんなで決めるの…?
と思うようなことまで、ミーティングメンバーで話し合い、共有します。
すべての係の進捗状況を報告しあい、準備に遅れが出ていないかを把握して、遅れが出ている場合は他の部員にも協力を求めながら、進めていきます。
③音楽面に関する会議
そもそも、吹奏楽は音楽活動をするための部活であることは、言うまでもないですよね。
このグループは、吹奏楽部として根幹となる、最重要会議です。
よりよい演奏を目指して各パートのパートリーダーで集まり、日頃の練習の反省会や、今後の練習計画・方針を話し合います。
もしかするとこの会議は、特に強豪校の場合など、高校時代にすでに経験したことのある方もいるかもしれませんね。
メンバーとしては、以下の人達が集まります。
・学生正指揮者…大学生の中で毎年一人、指揮者を選出し、普段の練習で指揮をします。各楽器の音の聞き分けができたり、音楽の知識が豊富な人が選ばれやすいです。
・学生副指揮者…次年度に正指揮者となる予定の人。3年生が正指揮者、2年生で副指揮者を選出する(2年→3年になる時に正指揮者となる)形をとっている大学が多いようです。
・各パートリーダー…楽器ごとに1名パートリーダーを選出し、この会議にパートを代表して出席します。常にパートのメンバーの練習の様子を見て、練習の進み具合や困りごとがないかを把握しておく必要があります。
大学によっては、正指揮者・副指揮者とは別で、外部から指導者の先生を招いているところもあります(「音楽監督」「常任指揮者」などと呼ばれます)。
この会議のメンバーで、外部指導者との連絡などを行い、練習を見に来ていただくスケジュールを相談します。当日は失礼のないように気をつけながら、お出迎え・お見送りなども行います。
筆者は、外部の先生のカバンをお持ちしたり、上着をお持ちしたりする役割でした。
持ち物を運ぶという、ただそれだけのことでも、落とさないように…エレベーターでは何を話したらいいのか…と考えを巡らせ、とても緊張したのを覚えています(笑)。
両立は大変だけど、大学吹奏楽は学びの宝庫!入部・退部も比較的自由なので、後悔のないように計画しよう!
運営をしながらの部活は、音楽以外にも数多くの学びがある
ここまで読んでいただいくと、
・大学の吹奏楽部って、楽器練習以外に係を持ったり、ミーティングもあって、大変そう…。
・大学在学中にアルバイトもしたいし、短期留学もしたい。両立は無理そうだから吹奏楽は諦めるか…。
そんなふうに思われてしまうかもしれませんが、ちょっと待ってください!
「何でもいいから入れるサークル(部活)を探している」という場合は引き止めませんが(笑)、「吹奏楽をやりたい」という気持ちをお持ちなら、入部前に諦めるのはもったいないです。
その理由は、大学での吹奏楽部の活動は、音楽以外にも学びの機会がとても多いからです。
どんな学びがあるのか、次に詳しく説明します。
運営を通して、企業や地域と関わる場面が多数ある
大学吹奏楽部は、運営をしていく中で、企業と関わる場面が意外にもたくさんあります。
例えば、
・合宿先の施設を探す際に、旅行会社さんから学生向けの施設を紹介してもらう
・定期演奏会のチラシを印刷してもらう印刷会社さんと、デザインについて打ち合わせをする
・定期演奏会の様子をビデオ映像として残してもらうため、いくつかのDVD制作会社へ見積もりを依頼する
などなど。
実際に企業の方とお話をしたり、打ち合わせをしたりするのはとても緊張しますが、企業の方とつながることで、その会社さんの様子が垣間見えたり、その業種のリアルなお仕事内容が少しだけ分かったりして、社会人になる前の予行演習をしているかのようなレベルで勉強をさせてもらうことができます。
また、学生自身も、失礼のないような受け答えや身なりに気をつけようと意識をするので、自然と社会人としてのマナーも学んでいきます。
ここで、筆者の大学時代の実例を紹介します。
定期演奏会でお客さんに配布されるパンフレットには、協賛してくださる企業の広告ページがありますが、ご存じでしょうか?
企業が吹奏楽団に対してお金を払ってくれる代わりに、パンフレットに企業名を掲載するということですね。
(いただいたお金は、貴重な演奏会の運営費として使われるわけです^^)
この、お金を払ってくれる企業を探すために、部員たちで大学近くのお店をまわったり、電話をかけてお願いしたりしました。
筆者自身は、大学近くで開業されている歯医者さんへ、協賛のお願いで出向きました。
めちゃめちゃドキドキして、了承いただけるだろうか…いただけないかもなぁ…と考えながら出かけたのを覚えています。
実際には、1年前の定期演奏会の際にも協賛金を出してくださっていたこともあり、「今年も協力するよ」と言って院長先生から了承をいただけ、無事に協賛金をいただくことができました。
部員の中には、「ダメもとで自分のアルバイト先に事情を話してみたら意外にも店長が応援してくれて、お金を出してくれた!」と報告してくれた人もいました ^^
協賛のお願いをしに出向いた時に
「いいですよ、学生さんの活動のためならお金を出してあげましょう」
とお返事をもらえた時には、
「有り難いというのは、こういうことなんだな」と身にしみて感じますし、
絶対に定期演奏会で良い演奏をしよう!と、改めて気持ちが引き締まるものです。
大学の吹奏楽部では、吹奏楽という音楽活動をしながらも、様々な企業や地域社会と関わりを持ち、人として大きく成長できる場所だということを、お分かりいただけましたでしょうか。
高校までと違い、入部・休部・退部のタイミングは個人の自由。ルールを確認して、後悔のない大学生活を!
大学の勉強をしながら楽器演奏に、運営にと大忙しな大学吹奏楽部ですが、あっという間の貴重な4年間です。
人によっては
「吹奏楽部の活動だけじゃなくて、短期留学もしたいし、アルバイトもしたい」
と考えている人もいると思います。
高校までは、なんとなく、学校や部の雰囲気で
「一度入部した部活を途中で辞めるなんて、言い出しにくいなぁ…」
「友人が吹奏楽部で活躍していて、自分もやってみたいけど、途中入部って気まずいかな…」
と考えてしまいがちですが、その点でいうと、大学は多少ルールが緩いことが多いです。
他にもやりたいことがある人は、吹奏楽団のメンバーに退団・休団時のルールを確認したり、相談したりしてみましょう。
例えば、
・休部を希望する1ヶ月前までには申し出をしないといけない
・定期演奏会に向けて○月~○月までは強化練習期間となるため、その機関に休部していた団員は出演できない
・コンクールメンバーに入りたい場合は、○月開催の合宿に参加が必須
などのルールがあることがあります。
そのルールに従っていれば、途中で休部・退団しても何も言われませんし、意外とそういう部員も多くいます。
筆者の友人で、大学吹奏楽部の活動に明け暮れすぎた結果、大学の授業出席日数が足りなくなってしまい泣く泣く留年、最終的にはせっかくもらっていた就職先の内定も辞退する結果になってしまった人がいました…。
吹奏楽は社会人になっても続けることができますが、大学生活は永遠には続きません。
ご自身の大学生活が後悔の無いように、部のルールを事前に確認してから、具体的な計画を立てましょう^^
まとめ
この記事では、筆者の大学時代の経験をもとに、大学における吹奏楽部(吹奏楽団)の特徴と、高校までとの違いについ詳しくご紹介しましたが、いかがでしたか?
大学生ともなると、これまで当たり前に導いてくれていた顧問の先生が不在となり、これまでは周りの大人が動いてくれていたことも含めて、自分たちで対応する必要があります。
部活の時間中はほとんどの時間を楽器の練習のみに使えていましたが、大学は、そうではなくなります。
苦労も増えますがその分、学べることも格段に増えます。
大学卒業と同時に社会人になることを考えると、部活を通して企業の方と直接つながる機会があったり、地域社会とのかかわりを持てたりするのは、他ではなかなか得られない貴重な体験です。
この記事を読んでくださっているあなたが吹奏楽を好きなら、ぜひ大学の吹奏楽部でも、活躍してみませんか?
仲間と協力して運営した部活動の成果として演奏会を成功させたり、コンクールに出場した経験は、あなたの今後の糧になりますし、
間違いなく、
「私は大学で、これを頑張った!」
と、自信を持って言えるものの1つになることでしょう。
就職活動でも、その経験を、自信を持って語ることができますよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント