全国の吹奏楽部員を応援するこのブログ「吹ブロ!」を書いている、夢緒と申します。
少しでも多くの方に、吹奏楽を知って欲しい
すでに継続中の方には、より楽しく吹奏楽を続けてもらいたい
という思いで、このブログを書いています。
吹奏楽部での練習において、切り離すことのできない「チューニング」。
毎回の練習で必ず行うものですが、これがなかなかのくせ者。
「チューニングが合わないせいで、楽しいはずの合奏まで辛くなってきた…」
「チューニングで、毎回自分だけが合わせるのに時間がかかり、迷惑をかけているのではと心配…」
「また合わなかったらどうしよう、指摘されたらどうしようと考えて、自信がもてず、チューニングが始まるとドキドキして安定した演奏ができない…」
こんなふうに、チューニングに対して苦手意識を持っている方がいると思います。
指揮者によっては、音程が合っていない人に対して合うまで執拗な指導をしたり、合っていない人は合奏練習に参加をさせない対応をとったりするなど、厳しい指導をする場合もあります。
チューニングが苦手な人にとっては、とても苦痛な時間になってしまいますよね。
チューニングの時間が辛いせいで、吹奏楽そのものがあまり楽しくなくなってしまうのはとても残念ですし、もったいないことです。
そこで、チューニングが苦手な方向けに、私が実際に続けたことでチューニングが得意になった練習方法を、お伝えしたいと思います。
これは決して難しい練習方法ではなくとてもシンプルで、【継続する】ことで効果を発揮するものです。
ぜひ、日頃の練習で試していただきいたいと思います。
自分のクセに早く気づこう!自分だけのデータを集めよう!【コツその①】
毎回、嫌でも行わないといけないチューニング。
音を出すのに一生懸命になりがちな初心者の方にとっては、鬼門ですよね…。
でも、毎回やるのには、意味があります。
毎回行っていると、だんだん、自分のパターンやクセに気付いてくるのです。
例えば、こんな感じ。
<例>
・自分は、どの音も高め(または低め)が出やすい。
・私は、ドの音は合わせられるけど、ファは毎回上ずる(毎回高めが出やすい)傾向にある。
・私は音が小さめに出てしまうことが多かったが、音を大きめに出すと合いやすいことが分かった。
・サックスパート全員、ミの音を合わせるのに苦労している。ミの音が特に高くなりやすい気がするから、パート全体で意識して合わせる練習が必要になりそう。
などなど。
このような、自分の傾向(高めになりやすいのか、低めになりやすいのか、特定の音だけ特にずれる傾向があるのか、など)を、知ること。
これが、初心者の方にとって、本当に、本当に重要です。
これが、チューニングの苦手意識をなくすための、第一歩です。
では、どのようにしてクセを見つけていけば良いのでしょうか。
まずは、毎回のチューニングで指摘された内容や、楽器のどの管をどの程度抜き差ししたかなど、「これをしたら合った」という内容をメモするなどして覚えておきましょう。
そのメモを集めていくと、自分の傾向を見つけていくことができます。
また、集計の仕方も、1つの音だけではなく色々なパターンでとってみると良いです。
例えば、ドの音だけで集計するのではなく、ソの音の場合や、♯・♭のつく音の場合など、あらゆる音でデータをとっておくのが、非常におすすめです。
特に、♯・♭のつく音のデータは、普段行う基本のチューニングの時だけの情報では、なかなか集まりません。
ですが、いざ曲の練習になった時には、♯・♭のつく音できれいなハーモニーを作らなければならない場面が、結構出てきます。やっかいなことに、意外と多いのです。
基本のド・ミ・ソなどの音でまずは自分のクセをつかんでおけたら、次の段階として、♯・♭のつく音でもチューニングをするようにしましょう。
自分のクセを見つけられたら、チューニングをする前の時点で、「これくらい調節しておくと、いつも合う」というポイントまで、先に管を抜き差ししておきましょう。
クセを見つけられるまでには、少なくとも2~3ヶ月くらいは続けてデータをとっておく必要があると思います。
はじめは面倒に感じられるかもしれませんが、一度自分のパターンを見つけられれば、もうチューニングは怖くなくなりますよ!
ある程度データをとっても、安定しない方へ
毎回のチューニングで記録をとっても、
「今日は高かった」「今日はすぐに合った」「今日は極端に低かった」
というように、データとしてバラバラなものが出てしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方は、データ収集よりもまずは、この記事の【コツその③】を読んで、試していただくべきかもしれません。
そんなあなたは、「出している音自体が、毎回安定していない」ということは考えられませんか?
チューニングの時に出す音が弱々しい日もあれば、強い音の日もある。
チューニングの時、緊張してしまうと音がゆれてしまう。
というように、音自体が毎回安定していない場合、まずは音を安定させることを優先させるべきです。
そんな方は、【コツその③】の部分まで飛んで読んでみてくださいね。
音が安定すると、チューニングでも合いやすくなりますよ^^
周りの音を聴きまくれ!筆者の実体験あり【コツその②】
多くの吹奏楽部では、合奏の前に全体のチューニングを行ってから、曲の練習に入ると思います。
みなさんの所属する吹奏楽部は、どのように全体のチューニングを行っていますか?
私が通っていた小学校の吹奏楽部は、先生がとても厳しく、毎回の練習でチューニングにとても時間をかけていました。
そんな環境の中で、私が実体験で学んだことを、ここでご紹介したいと思います。
私が入部した吹奏楽部は、合奏前に、必ず個人やパートできちんとチューニングをしてから、合奏にのぞむという決まりがありました。
ですが、いざ合奏が始まると、先生から「全然合っていない!!きちんと合わせてきたのか?!」と、しょっちゅう叱られていました。
相手が小学生でもお構いなく、特に合っていないパートは全員その場に立たされ、一人ずつ吹き、先生の手元にあるキーボードの音(合わせるべき基準の音)に合うまで続きます。
自分が合っていない場合はもちろん必死ですが、逆に、自分がすぐに合わせられた場合でも、他の部員全員が合うまで、ずっと待つことになります…。
(木管の高音パートから順に合わせる流れだったので、私が所属するクラリネットの出番は2番目。終わってしまっても、まだまだ長いのです…)
私にとって、この「全員が合うまで待っている時間」が、結構長く感じらました。
でもその間、ただぼけっとしていたり、うっかり寝てしまったり…なんていうのが先生に見つかったら、怒られてしまうのは目に見えていたので、なんとか集中しなければ、と考えました。
待っている間、「自分は指摘されていないのだから、関係ないもーん」と思うことがあまりよくないことだというのは、当時小学生の私でも、理解はできていました。
たった一人がズレているだけでも、合奏に影響が出ますからね。
どのようにして待ち時間を過ごそうか考えた結果、私はその待ち時間に、
「自分が指摘されているつもりで、その人の音を聞く」
ということを始めました。
当事者意識を持って、自分のことように考えながら過ごすということですね。
これが、結果として良い流れを作りました。
続けた結果、いつの間にか、チューニング以外の時間においても、部員の音をよく聞くクセがついていきました。
聞きながら、
・○○さんの音色きれいだな~。こんな音でに吹けるようになれたらいいな。
・○○さんがチューニングに苦労している。高いから合っていない?それとも低いから?
こんなことを頭の中で考えていました。
ただ聞くのではなく、他人事のように考えず、自分事として考えながら聞いていました。
これを繰り返して1年ほど経過してから、私は、いつの間にか耳が鍛えられていたことに気がつきます。
はじめに、譜面を見なくても、他人が出している音が何の音なのか(ドなのか、レなのか)をだいたい聞き分けられるようになり、チューニングの時には、自分や他人の音のズレが明確に聞き分けられるようになりました。
つまり、その人が「高い」からズレているのか、「低い」からズレているのかが分かるようになったということです。
こんなふうに、私は「チューニングの待ち時間に、自分のことのように考えながら他人の音を聞く」ということを続けたことで、聞き分ける能力がつきました。
当時の私はまったく気付いていませんでしたが、無意識に耳を鍛えていたというわけです。
チューニングが苦手な方は、もしかすると、ついついチューナーに頼った「目で合わせる」ということに注目しすぎているかもしれません。
私自身が実際に続けて効果が出た方法で、当時小学生の私でも身についたので、チューニングが苦手な方はぜひ試してみていただいて、それを数回で終わらせることなく、長く続けてみてほしいなと思います。
時にはチューナーを使わず、耳も使ってみてくださいね。
音を安定させよう!イメージは「ようかん」?!【コツその③】
【コツ③】と書いてしまいましたが、ここで紹介することは、もちろんチューニングにも関わってきますが、それ以前に「楽器がうまくなるための土台」となるようなことで、非常に重要な内容です。
それは、楽器練習の超基本である「ロングトーン練習」をきちんと習慣化させ、安定した音色を出すこと」です。
ロングトーン練習とは、音を長くのばして少し休み、また長くのばして少し休み、を繰り返す練習のことを言います。
よくあるロングトーン練習のパターンとして、「メトロノームに合わせて8拍吹き、4拍休む」ことを繰り返す練習があります。これを練習に取り入れている吹奏楽部は、とても多いと思います。
こういった「同じ音を一定の拍数でのばし続ける」ような練習のことをまとめてロングトーンと呼びます。
ロングトーンとチューニング、あまり関係ないのでは?と思う方もいるかもしれません。
ですが、とてもとても、関係が深いのです。
なぜなら、チューニングでは安定した音が出せていない状態で行っても、あまり意味がないからです。
【コツその①】で書いた「自分のクセを見つける」ということにおいても、音が安定していて初めて、見つけることができるようになります。
では、音が「安定している」とは、どんな状態でしょうか。
これは、図で見てみると分かりやすいです。
①
②
③
①が、もっとも理想的な形です。
こんな形をイメージしながら、できるだけこの形を維持したままで長く音をのばせる練習をしましょう。
形が、和菓子の「ようかん」に似ているので、私はよく「ようかん形になるように吹く」と表現しています。
分かりやすいので、ぜひ普段からイメージして吹いてみて下さい。
↓おいしそうですね…(笑)
②は、惜しいですね。理想までもう少しです。
はじめのうちは良いですが、途中で息が苦しくなったり、口が緩んでしまったりして音が弱くなってしまう場合です。
途中で音が弱まると、弱まったタイミングで音程が変わることが多く、チューニングで合いにくくなる原因になります。
②のパターンになる原因の1つに、腹式呼吸が上手にできていない可能性が考えられます。
腹式呼吸とは、息を吸ったときにおなかが膨らみ、息を吐いたときにおなかがへこむような呼吸の仕方です。
「無理矢理おなかを大きく膨らませる」のではありません。
自然とおなかが膨らんだり、へこんだりする動きになります。
楽器を吹いている時にこれが出来ているかどうか、確かめながら吹いてみましょう。
意識していないと、おなかを使わず、肩で息をしてしまっているかもしれません。
腹式呼吸が安定してできるようになると、腹筋を使って安定した音を長く保つことができます。
そして、最も避けたいのは、出した音が③の形になってしまうこと。
音がゆれて、終始音が安定しませんので、きちんとチューニングをすることができない状態です。
③のような音になってしまう方は、まずは音を長く安定させるために、ロングトーン練習に重点的に取り組む必要があります。
「とりあえず、音をのばす練習をすればいいんだな。」と思った、そこのあなた。
それだけではダメです。
ポイントは、「今、人に聴いてもらっているんだとイメージしながらロングトーン練習をする」という点です。
誰かに聴いてもらっているのだと意識すると、音の質がガラッと変わります。
実際のチューニング練習でも、指揮者や周りの人に音を聴かれている環境で吹き、できるだけ早く音と合わせなければいけません。
人前で吹くことをイメージして、「ようかん型」の音の状態を保てるようにロングトーン練習に取り組んでみましょう。
日に日に、音が変わっていきますよ!
とにかく、まずは音を安定させましょう。チューニングの話は、それからで大丈夫です。
まとめ
チューニングを克服するための3つのコツを、私の実体験をもとにご紹介してみましたが、いかがでしたか?
私は、この3つのことを理解してから、チューニングから苦手意識がなくなり、そのおかげで合奏でも自信を持って吹くことが出来るようになりました。
自信が持てるようになってからも、【コツその③】で紹介した、下記の3つのことは必ず続けるようにしました。
・ようかんのイメージで音を出すこと
・いつも人に聴いてもらっていることを意識して練習すること
・ロングトーンは、どれだけ時間のない日でも必ず練習に取り入れること
この3つは、チューニング練習のことだけにかかわらず、管楽器の演奏においてはあらゆる場面で役立つ練習方法だと自負しています。
もしこの中で試していないものがあれば、騙されたと思って、ぜひ取り入れてみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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