吹奏楽部員を持つご家族・親御さんへ伝えたいこと。【吹奏楽部という、狭くて独特な世界を知ってほしい】

吹部ってどうなの?

全国の吹奏楽部員を応援するこのブログ「吹ブロ!」を書いている、夢緒と申します。

少しでも多くの方に、吹奏楽を知って欲しい

すでに継続中の方には、より楽しく吹奏楽を続けてもらいたい

という思いで、このブログを書いています。

吹奏楽部の世界は独特。でも、それが周りに伝わりづらい。

筆者は、自分の家族にすら、大変さを理解してもらえなかった過去があります。

私は、小学校4年生から吹奏楽部に入り、途中で数年ブランクを挟んだものの、出産前まで吹奏楽を続けてきました。

そんな私が今になって思うことは、吹奏楽の世界は良くも悪くも「独特」だということ。

また、それだけでなく学校ごと・部ごとにおいても特別なルールが用意されていることも多く、部活動は学校の中での活動であるはずなのに、吹奏楽部は、学校生活とは切り離された別世界のようなのです。

つまり吹奏楽部の学生さんは、普通の学校生活と、第二の学校生活(=吹奏楽部での活動)を抱えているような状態といえます。

学校生活と吹奏楽部での活動を終えて、学生さんたちは、心身ともにクタクタで帰宅します。

帰宅後はゆっくり休みたいところですが、夜は塾へ通う方もいるでしょうし、習い事などはなくても自宅での予習・復習などの課題で、ゆっくり休むわけにもいかない方が多いのではないかと思います。

この記事を書いている私も、学生時代は吹奏楽部での活動に明け暮れていましたので、帰宅後は本当に疲労感でいっぱいでした。疲れ切って、宿題をしながら寝てしまう…なんてこともしょっちゅうでした。

そして、それを見た家族は、

【うちの娘は、部活動ばかりに明け暮れて、何よりも大切な勉強をおろそかにしている】

としか捉えてくれませんでした。

「なぜ眠くなってしまう?なぜきちんと課題ができない?意思が弱いからではないか?」

「学校生活のもっとも重要な学業がきちんとできていない奴は、いくら部活を頑張っていると言ったところで、ダメだ」

と言って、私の方から吹奏楽部の大変さを伝える機会すら、一度も与えられませんでした。

正直、私はこのときの気持ちを大人になった今も鮮明に覚えていて、

なぜここまで疲れ切っている姿を見ても、私の目線で一緒になって話を聞いたり、寄り添ったりしてくれないんだろう。

部活動であっても、何かに一生懸命になることがそんなにいけないことなの?

と、悶々とする日々を過ごしていました。

結局、私が心から大好きな吹奏楽という世界について、大変さも含め、きちんと家族に理解してもらうことはできないまま、結婚して家を出てしまいました…。

そんな経験をした私が、この記事で一番お伝えしたいことは、吹奏楽部のみなさんが独特な世界で、大変な思いをしながら毎日を過ごしているのだということが、なかなかご家族に伝わりくいということです。

この記事を読んでいただければ、具体的にどんなこと・どんな場面で、吹奏楽部のみなさんが大変な思いをしているのかを知っていただくことができます。

吹奏楽部なんて、みんなで仲良く楽器を吹いているだけなんだから、大変なわけがない…?

毎日走り込んで、体を動かしている運動部の方が大変に決まっている…?

いえいえ、吹奏楽部はそんな甘い世界ではございません!

ぜひ、この記事を吹奏楽部員のいる親御さん・ご家族に読んでいただいて、部員たちが日頃どんな世界で過ごしているのかを知っていただく機会にしてもらいたいと思っています。

吹奏楽部の独特な環境①「体力的にしんどくなさそう」と思われる

運動部と文化部を比較すると、どうしても、印象として運動部の方が体力的に大変だと思われがちですよね。

当然、運動部は体を動かすことがメインとなり、気候的な都合も重なると熱中症の心配も出てくるので、体への負担は大きいですよね。

運動が大の苦手な筆者としては、部活動選びで運動部を選ぶという時点で、尊敬に値します。

運動部に比べると、吹奏楽部は文化部というだけで、体力的には楽なのかな?というイメージを持たれることが多いです。

だからこそ、長時間の練習になったり、長時間やっても大丈夫だよね?と思われがちなのです。

この点が、吹奏楽部での活動が大変と感じる大きな要素です。

コンクールに向けて厳しい練習が続く強豪校になればなるほど、長時間練習が常態化しているのが現状です。

部活動は平日の放課後だけでなく、土日にも練習があることがありますが、吹奏楽部にとっては土日こそ、まとまった練習時間を確保する貴重な機会となります。

土日には、お弁当持参で9時~18時まで部活動、そして休みもなくまた月曜日が始まる…という吹奏楽部員、意外と多いのではないかと思います。

実際、1日中楽器を演奏し続けると、口や歯、唇周りが痛くなります(リップは必需品です)。

顧問の厳しい叱責や指導を受けながら、楽器を抱えて同じ姿勢で長時間の演奏が続けば、首・肩・背中がこりまくりです。

コロナ以降は状況が変わった学校もあるかとは思いますが、吹奏楽部はこのような理由で、練習時間や拘束時間がとても長くなりがち(長時間練習でも体力的に問題ないと思われる)なのです。

文化部だからといって、決して体力的に楽だとは限らないこと、分かっていただけたでしょうか。

※この、「吹奏楽部は長時間練習になりがちな問題」について、別の記事でも「吹奏楽部のデメリット」として紹介しています。入部前に悩んでいる方は、ぜひご一読いただけたらと思います。

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吹奏楽部の独特な環境②大人の目が行き届きにくい

顧問の目が届きにくい個人練習・パート練習

吹奏楽部は、部員全員で合奏をしているイメージがあると思いますが、実際には、合奏と同じくらいの時間を、個人練習・パート練習に費やしています。

例えば、平日の放課後に全部で2時間の練習時間があるとすれば、半分の1時間は個人練習とパート練習に当てられます。土日の終日練習の場合、午前中は個人練習とパート練習に充て、午後にようやく合奏の時間というようなイメージです。

顧問の先生(指揮者)は、すべてのパートでどの程度演奏できているかを把握しておく必要があるので、順番にパート練習の様子を見に来ることがあります。ですが、個人練習やパート練習の時間を、そうではなく、自身の指揮の練習に充てたり、スコア読みの時間に充てる先生もいるでしょう。

つまり、個人練習・パート練習中の時間の大半は、学生のみで時間を過ごすことになるのです。

運動部でこれをやってしまうとケガなどの心配が出てくるので、誰か大人が見てくれていることも多いと思うのですが、吹奏楽はその心配もないので、これが成立してしまいます。

この、顧問が見ていない時間中は、自分たちで練習メニューを組んで進めていかないといけません。

顧問が見ていないからと言って遊んで過ごした場合、合奏練習の時に、そのパートだけ全然吹けていないということがすぐにバレますので、そういうわけにもいきません(^^;)

パートリーダー中心となって練習を進めていきますが、怖い先輩がパートリーダーだと、どうしてもピリピリモードで終始緊張しながらの練習になってしまいます。

また、パートリーダーが優しすぎる人だと、うまくまとまらず、周りが文句を言ったり好き勝手し出したり…。

パートのメンバーも、クラスの仲良しメンバーというわけではなく、あくまで「同じ楽器担当になった同士であり、ライバル」です。

顧問の先生が見ていない環境で、自分たちで今必要な練習を考えて進めていくのは、頭も使うし、パートのメンバーに気も遣うので苦労しますし、とてもしんどいものです。

私は、自分がパートリーダーになって練習を任された時、

「顧問の先生が見ていてくれて、先生の言う通りに練習できたら、どれだけ楽か…」

と思いながら現実逃避していました(笑)。

学生だけの閉ざされた環境下。陰湿な嫌がらせや、いじめが起こる可能性

運動部と違って、吹奏楽部には練習試合というものはありません。

ですので、他校と交流したり、練習試合や遠征等で親御さんが応援に来て交流したりする機会も、運動部と比べてかなり少ない環境だといえます。

その環境にプラスして、顧問の先生の目が届かない時間帯も多いとなると、大人の目がまったくない状態で、「部員だけ」の非常に狭い人間関係の中だけで、何ヶ月も過ごすことになります。

部員だけの環境であっても、リーダーシップのとれるリーダーのもと、部員が一丸となってコンクールや目標に向かって、同じ気持ちで切磋琢磨していくことができればすばらしいですし、そんな理想的な環境で練習を頑張っている吹奏楽部も、多いことでしょう。

(特に、全国大会出場できるような超強豪校はきっと、こんな雰囲気を作ることができているんだろうな…と想像しています。)

ですが、実際のところは

○○さんだけ、顧問に気に入られている気がする。

○○さんは地味なくせに、楽器がうまいからって、調子に乗っている気がする。

そういう小さなことがきっかけで、統率のとれていない狭い世界の中で、陰湿な部員が考えることは…

もうお分かりだと思います。

その日の連絡事項を、その子にだけきちんと伝えない。

自分より上手に吹ける後輩に対して、当たりをキツくしたり、嫌がらせをする形で対抗する。

気に入らない部員に対して、昼休みに仲間はずれ(グループに入れず孤立させるなど)を繰り返す

などなど。

こういったことが起きてくるのです。

そして、顧問(指揮者)の目がある合奏練習の時には、そんなことはなかったかのように振る舞うので、大人にはなかなか気付いてもらえません。

もちろん、すべての吹奏楽部でこのような陰湿な嫌がらせが起きているとは思えませんが、起きていたとしても、大人が気付いてあげられるタイミングが少ないのが現状です。

こんな環境では、もともと長くなりがちな練習時間が、もっと長く感じてしまいますよね。

部員には真面目さんが多く、簡単には休めない

長時間の練習や、部員だけになった瞬間から始まる嫌がらせ。

そんな環境でも吹奏楽部員は、簡単には「今日は部活を休もう」という発想になりません。

なんなら、どれだけしんどくても、部活だけは絶対行かないと…!!と思っているような部員もいるかもしれません。

吹奏楽を続けてきた筆者なりに、その理由を考えてみました。

考えた結果、

「学校の中で数ある部活動の中から【吹奏楽部】を選ぶ人は、基本的に、真面目できちんとしている人が多いからではないか」

という結論に至りました。

考えてみれば、私はこれまで吹奏楽部に所属してきた中で、私生活がめちゃくちゃで自己管理ができないような人や、普段サボってばかりで気が向いたときだけ部活に参加するような人、周りのことを考えず迷惑ばかりかけるような人には、ほとんど出会ったことはありません。

吹奏楽部を選んで入部する人は、ある程度、入部の時点で「この部で、しっかり部活動を頑張ろう!」と心に決めているが多いのかもしれません。

真面目な部員が多いことは、普通に考えればとても有り難いことですが、サボったり、気軽に休んだりする人が周りにいないので、少し休んだだけで目立ってしまいます。

また、強豪校などの場合は特に、休んでいた少しの間に、自分の希望のポジションがパート内の他の人にとられてしまう心配も出てきます。

ですので、人間関係で少々辛いことがあっても、休みたいとは簡単には考えられないのです。

吹奏楽部というとても狭い世界だけで過ごしていると、

ちょっと疲れたな…

ちょっとしんどいな…

という気持ちを抱えながらも、休むということも考えられず活動を続けている部員もいるということを、知っておいていただきたいと思います。

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まとめ

吹奏楽部特有の大変さや、独特な環境について、経験者目線でご紹介しました。

今回の記事は、少々ネガティブな内容になってしまいましたが、私が吹奏楽のブログを書こうと決めた当初から、絶対に発信したいと決めていた内容なんです。

私自身が部活動を一生懸命続けてきたことが家族に理解されにくく、もどかしい思いをしてきたので、そんな思いをしている現役の吹奏楽部員の気持ちや、吹奏楽部という独特な環境を、多くの大人に知っていただきたかったのです。

今回の記事で、少しでも多くの保護者の方へ伝わっていればいいなと思います。

そして、この記事を読んでくださった保護者の方・ご家族の方に、お願いです。

疲れている吹奏楽部の学生さんに対して、

「いつも練習お疲れ様。」

と、声をかけてもらえたらなと思います。

もし、疲れがひどい様子だったり、元気がない様子が見られましたら、

「最近、部活どんな感じ?」

「楽しくやれてる?」

と、聞いてあげてほしいなと思います。

辛そうでしたら、時々、学校や部活をお休みをしても大丈夫だと伝えてあげてほしいなと思います。

部活動のない日や、早めに帰宅できた日には、ご近所でいいのでご家族で外食にでも連れて行ってもらえたら、疲れた心も体も癒やされ、明日からの部活も頑張れると思います。ぜひぜひ(^^)

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

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