全国の吹奏楽部員を応援するこのブログ「吹ブロ!」を書いている、夢緒と申します。
少しでも多くの方に、吹奏楽を知って欲しい
すでに継続中の方には、より楽しく吹奏楽を続けてもらいたい
という思いで、このブログを書いています。
吹奏楽部・吹奏楽団と呼ばれるものは、小学生が入部する部活動から始まり、学校を卒業した社会人メインで組織されたグループまで、幅広く存在しています。
吹奏楽部員には、実はさまざまなパターンがあります。
・もともと通っていた学校に吹奏楽部があり、入部したのをきっかけにずっと続ける人
・中学まではまったく別の部活に入っていたけれど、高校から吹奏楽部にチャレンジする人
・中学で入部したけれど一度辞めて、社会人になってまた楽器を吹きたくなり、社会人楽団で復帰する人
こんなふうに、人生の中で、いつでも始められて、いつでもまた復帰できます。
珍しいパターンとしてご紹介すると、
筆者は大学時代に、これまでまったく音楽経験がないけれど、大学から初心者として吹奏楽に挑戦するため、入団してきた男子学生に出会いました。
その決断力とチャレンジ精神は、本当にすばらしいと感じました。
筆者自身はというと…
出産と育児のために、学生時代から続け、生きがいであった吹奏楽団の活動が続けられなくなり、当時所属していた社会人向けの楽団を退団しました。
それが非常に辛く、心のよりどころを無くしてしまったように感じ、さらに出産後、自分時間があまりに取れない日々で現実の厳しさをつきつけられ、
「吹奏楽を続けるには、楽団の練習に参加するたびに、その時間、子どもを誰かに預けないといけない。
仕事のためならともかく、趣味だけのために、そんなことは無理。
もう二度と、吹奏楽はできないかもしれない…」
と考えてしまい、愕然としました。
時間が経過し、このブログを書いている現在は
「今はできなくても仕方ない。そういう時期だ」
と割り切れるくらいになりましたが、絶対に絶対に、また吹奏楽の世界に戻って楽器を演奏するんだ!と、静かに、心に誓っています!
話を戻しまして。
小学生から大人まで、幅広く楽しむことができる吹奏楽。
小学生から始めて、事情により時々休みながらも社会人まで吹奏楽を続けてきた筆者は、
「学校を卒業するごとに、吹奏楽部としての活動内容が少しずつ変わっていく」
ということに気づきました。
学校自体がどんどんレベルアップしていくわけですので、部活動で行うことの内容もレベルアップしていくもので、変化が起こることも当然なのですが…
「吹奏楽部は、美しい合奏を目指して、とにかく一生懸命楽器を練習する場所だ」
としか考えていなかった当時の私は、その変化に、実は驚きを隠せませんでした。
特に、高校生→大学生となるタイミングでの変化は、最も大きいものに感じました。
そこで今回の記事では、吹奏楽部がステージ(小学生~社会人)によって、どのように変化するのかについてご紹介します。
この記事を読んでいただくことで、これから吹奏楽部に入られる予定の方や、継続していく方の
「中学から始めた吹奏楽を、高校でも続けたいけど、高校の吹奏楽部ってどう変わるのかな?」
「春から社会人になるけど、社会人の楽団に入って楽器を続けたい!社会人向けの楽団ってどんな感じなんだろう?」
「小学生の吹奏楽部って、幼すぎてあまりイメージできないけど、どんな感じなんだろう?」
これらの疑問が、解消できます。
ステージごとの特徴を知っていただくことで、軽く予備知識を持って挑むことができますので、学校が変わることによる変化に不安がある方に、ぜひ一度お読みいただければ幸いです。
ステージが変わると、吹奏楽部はどう変わる?ステージごとの特徴を解説!
小学生の吹奏楽部(ピアニカやリコーダーが楽勝になっちゃう!)
筆者は、通っていた小学校に「吹奏楽部」があり、入部しました。
フルートやクラリネットのような木管楽器もあり、特殊楽器であるバスクラリネットまでありました。
ですがオーボエが無く、サックスの子が代わりにオーボエパートを吹いてくれていたように記憶しています。
金管楽器も、ホルンやチューバまで揃っており、パーカッションにおいてはなんと、一般的なスネアドラム等だけではなく、和太鼓までありました。
ですが、小学校を卒業してから、自分の小学校は特殊な環境だったのだと知ることになります。
どうやら多くの小学校では、そもそも「吹奏楽部」という名称で部として存在しているところは少なく、「音楽部」や「金管バンド部」という名称で、楽器の種類も金管楽器とパーカッションのみで組織され、木管楽器は無いところが多いようです。
そんな小学校吹奏楽部(金管バンド)の特徴を、まとめてみました。
<運営面>
まだまだ幼い部員たち。当然、顧問の先生が部の運営や決めごとをすべて担う。
<音楽面>
楽器を吹くのは息が苦しく、楽器も重いので、当初は大変に感じることも。しかし半年も経つと、担当楽器でドレミファソラシドが吹けるようになり、5年生にもなれば簡単な曲の合奏ができるようになる。リコーダーやピアニカが、目を閉じても吹けるかも?と思えるほど簡単に感じ、学芸会などの発表の場では、日頃の部活の経験を活かして活躍できる。
小学校時代のポイントは、
「吹奏楽部で日常的に行っている譜読みや演奏の経験を、学校行事などで活かしやすい」
という点だと思います。
クラリネットやトランペットのような楽器の「技術を磨く」ということそのものより、日頃の部活動でついてくる譜読みの力や、リズム感、音楽的センスが磨かれていくのです。
学芸会(音楽発表会など)の練習の場面で、他の子よりも速く対応できるので、学年やクラスの中で中心になって活躍できます。
そんな経験ができると、成功体験となって自分に自信をもたらしてくれることでしょう^^
中学生の吹奏楽部(実は貴重な期間!技術を身につけるチャンス)
小学校では少数派だった吹奏楽部ですが、中学校からは、ポピュラーな部活動の仲間入りを果たします。
中学から吹奏楽を始める方の割合が、最も多いのではないでしょうか。
小学生時代と比べて体格も大きくなり、管楽器を吹くために必要な肺活量がつき、チューバなどの大きな楽器にも問題なく対応できる頃ですね。
そんな中学校の段階での吹奏楽部の特徴を、まとめてみました。
<運営面>
顧問の先生(指揮者)が部の運営をすべて行ってくれるので、学生は音楽活動・楽器練習だけに集中できる(中学卒業以降はそういうわけにはいかなくなってくる場合があるので、実は貴重な時期)。部長、副部長、パートリーダーなどの役職者は多少関わることができる場合もあるが、決定権はほとんど顧問の先生にある。
<音楽面>
音楽のことだけに集中できるので、楽器の技術が速いスピード感で身につく。高度な技術を習得できる子も増えてくる。
<その他>
年齢的に多感な時期で、どうしても部内でのパート争いや、人間関係トラブル等が増えがち。
中学時代のポイントは
「顧問の先生が運営面を担ってくれるので、学生は自分の楽器の練習に集中できる」
という点です。
(筆者はこの頃が一番、一番深く吹奏楽を楽しむことができたように思います^^)
顧問の先生に従うだけだった小学生とは違い、中学生になると反発心が出てきてトラブルになったり、学生同士で人間関係がうまくいかなくなったりすることも多い時期ですね。
高校生の吹奏楽部(自分たちで考え、自分たちで部を作っていく)
高校になると、吹奏楽部は
1、コンクールに向けてバリバリ練習する、強豪校寄りの部
2、コンクールには出場せず、文化祭などの発表がメインの活動となる部
という2つのパターンで、二極化していきます。
そんな高校での吹奏楽部の特徴をまとめました。
<運営面>
中学までは顧問の先生が主導で行っていたのに対して、学生たちも部の運営に関わるようになる(例:部の新ルールを部員全員でのミーティングで決める、文化祭での演出を自分たちで企画する、など)。そのため、楽器の練習時間以外にミーティング等の時間も増える。
<音楽面>
これまでの「先生から指導された箇所を練習する」というスタンスから変わり、主体性が求められるようになる。自分たちの演奏に足りないものは何か、それを補うにはどんな練習か必要か、などを先生任せにせず、自分たちでも考えられるようになるので、これまで以上に「みんなで音楽をつくっている」という一体感が生まれる。
<その他>
「あの人は表現力が豊かだ」「あの人は音色がきれいだ」というように、素直にお互いを認められるようになる。そのため中学と比べて、いわゆる「足の引っ張り合い」のようなことが少なくなり、お互いを高め合えるようになる。
高校生になると、「お互いを認め合って切磋琢磨できる状態が理想的なんだ」ということを理解できるようになる年頃だと思います。
そのため、思春期真っ盛りでピリピリしがちだった中学の頃と比べ、トラブルなどは減ってくるでしょう。
運営面にも関わることで、楽器練習だけやっていた時は知り得なかった、部の裏側(部の運営の面白さや難しさ、一つの演奏会を開催するにあたっての大変さなど)を知ることができます。
大学生の吹奏楽部(部の運営自体も、演奏も、何もかも自分たちで!)
これまでは一つの「○○学校」という枠組みのなかで、顧問の先生を中心として活動していた吹奏楽部ですが、大学からは、ガラッと変わります。
実は筆者は、大学吹奏楽団での経験が、社会に出てからとても役に立ったと感じています。
そんな、大学での吹奏楽部の特徴をまとめました。
<運営面>
新入部員の歓迎から、日頃の活動、イベントまで、すべてのことを学生のみで行うが、実はこれがものすごく大変。部の運営のためのミーティングに長時間を費やしている部もあるほど、決めごとや事務的な仕事がたくさんあり、それらを部員で分担して行う。
<音楽面>
高校までは当たり前すぎて気にもしていなかった顧問の先生(音楽面の絶対的指導者)が不在になり、自分たちの演奏を自分たちで客観的に評価し、練習計画もすべて自分たちで立てる必要がある。部員の中で指揮者を選び(「学生指揮者」と呼ばれる)、その指揮者とパートリーダーが中心となって音楽をつくる。
<その他>
「常任指揮者」「音楽監督」と呼ばれる先生(ほとんどの場合、大学教授のような、いわゆる「偉い方」)を学外から呼び、コンクールや演奏会において演奏面の指導を受けることも多い。先生方との関わり方もまた、貴重な学びの機会となる。
ここまでお読みいただくとお分かりかもしれませんが、大学の吹奏楽部は、高校までは別物と考えたほうが良いくらい、大きく変化します。
ポイントは、
部の運営も音楽面も、すべて、自分たちで行うということ。
毎回の練習場所の確保、その日の練習内容の計画立案、演奏会をする場合はホールの予約手配、コンクールに出るならコンクールのエントリー手続き、…
何をするにもすべて、誰かが事前に手配をしておくことで成立します。
恥ずかしながら筆者は、大学吹奏楽部に入るまでこのことに気がつかないまま過ごしていました。
大学で「吹奏楽部の活動を行えること自体が、とてもありがたいことなのだ」と気づきました…。
先にも書いたように、大学では楽器の練習以外の活動も多く、詳しく紹介しようとするとここには書き切れないほどあります。
活動内容が多岐にわたるだけでなく、実際に部を運営するために「やらなければならないこと」の種類も大変多いですが、その分、学べることも本当に多いです。
楽器だけやっていた頃とは比べものにならないほどの貴重な経験・勉強ができます。
大学の吹奏楽部の特徴について、こちらの記事で詳しく書いていますので、ご興味のある方はぜひお読みいただけたら嬉しいです。
【経験者が解説】大学の吹奏楽団って、実際どうなの?【高校までとは大違い!学びも多い】 | 夢緒の吹奏楽の部屋(新しいタブで開く)
社会人の吹奏楽団(入退団が自由。自分持ちの楽器があると◎)
社会人以降は、学校という組織の中での「部」ではなくなるので、「吹奏楽部」ではなく、「吹奏楽団」と呼ばれることが多くなります。
地域の名称などを組み合わせて「○○市民吹奏楽団」「○○市シンフォニックオーケストラ」等の楽団名としているところが多いですが、地名等とは関係なく、ユニークな名称のところもあります。
そんな、一般(社会人向け)吹奏楽団の特徴をまとめてみました。
(社会人向けの楽団はルールや特徴などが団により大きく異なります。すべての楽団がこの特徴に必ず当てはまるとは限りませんので、あらかじめご了承くださいませ。)
<運営面>
大学と同様、楽団メンバーのみんなで協力して運営している。長年その楽団に所属しているメンバーが主要な役職を担当し、メインとなって運営していることが多いが、一人一つは何かしら仕事を割り振られるようにしているところも多い。社会人が団員の多くを占めるが、中には高校生や大学生が所属している場合もある。「自前の楽器を持っていること」を入団条件としているところも多い。
<音楽面>
楽団によって練習頻度はまちまち。決まった練習場(市民センターなど)で平日の夜、または土日などに集まって練習時間を確保している。普段は週に一度程度の練習だが、演奏会直前やコンクール間近には練習頻度を増やしたり、合宿を行ったりする楽団が多い。仕事や家庭等の都合で練習に参加できる頻度が人によって異なるため、学生時代と違い、メンバーが全員揃うことは少ない。
メンバーの多くが社会人のため、学生の頃のような「絶対に練習に参加しないといけない」感は弱くなります。
また、若い人は高校生から、年長者だと70代くらいの方まで、本当に幅広い年齢層の人が混ざって練習しています。
学生時代はどうしても、
「何かしらの部活に入らないといけないから、仕方なく吹奏楽部を選んで入りました」
という人もいるでしょうが、社会人向け楽団に入団してくる人は、
「音楽や吹奏楽が大好きだから入団している」
という人ばかりです。
音楽を楽しむために入団してきているので、団の雰囲気を悪くしたり、トラブルが起こったりすることはかなり少なく、足の引っ張り合いもありません^^
そんな社会人向け楽団においては、
「自分の楽器を持っていること」
が、実は重要だったりします。
学生時代は、数年所属して卒業していくサイクルで学校の楽器を次の部員に回せるので、マウスピースのみ自前のものがあれば、本体は学校のものを借りられることが多いです。
ですが当然、一般楽団はそういうわけにはいかず、貸し出しできる楽器の用意がないところがほとんどです。
入団の時点で自前の楽器を持っていること前提で団員募集をしているところが多いので、入団をお考えの方は、その楽団の募集要項を確認してみてくださいね。
そして、練習頻度も、楽団によって大きく異なっています。
例えば、コンクールに出場して優秀な成績をおさめるような楽団は、最低でも週に2~3回程度は全体での練習時間を取っているのに対し、コンクール出場はせず定期演奏会や訪問演奏などを活動のメインとしている楽団の場合は、週に1回程度の練習頻度、といったイメージです。
また、一般楽団は専用のホームページを持っていて、そちらで入団の募集案内や定期演奏会の情報などを公開しているところも多いです。
ホームページから入団前の見学の予約ができるようになっている楽団も多く、この記事を書いている私も、大学卒業後に社会人向け楽団に入団するために、何カ所かの楽団に見学予約をして伺いました。
事前予約して伺えば、担当の方がきちんと案内をしてくれて、合奏の様子を自由に見学し、団の雰囲気も感じることができます。
また、自宅から練習場まで実際に出向いてみると「毎回通うにはちょっと遠いな」とか「意外と行きやすいな」といったところが分かるので、事前見学はとってもおすすめです。
まとめ
小学生から社会人まで、各ライフステージにおける吹奏楽部・吹奏楽団の違いを、特徴を紹介しながら解説してみました。
いかがでしたか?
音を出すのに精一杯、分からないながらも練習についていった小学生から、
ぐんぐん技術力が上がっていく中学生、
互いを認め合ってさらに高みを目指せる高校生、
音楽だけでなく部自体の運営・経営も学びながら成長できる大学生~社会人。
一言で吹奏楽部といっても、ステージによって求められるもの・学べるものが少しずつ違うのだということをお伝えできていれば、嬉しく思います。
吹奏楽部のステージごとの違いを知っていただき、これからの部活選び・趣味選びの参考にしていただけたら幸いです。
筆者はこの記事を書きながら、大人から子どもまで、本当に幅広い年齢で楽しむことができる吹奏楽の素晴らしさに、改めて気づかされました^^
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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